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小澤俊夫さん,ギャラリートーク!

2018.03.30 (金)

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3/27(火)14時~
昔話研究家の小澤俊夫さんが,
ギャラリートークに来て下さいました!

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小澤俊夫さんは,今回の「ピースウォーク」シリーズの1冊,
『幽霊少年シャン』(高橋うらら・作 黒須高嶺・絵)の
解説を書いてくださいました。

小澤さんは,1930年,満州の長春で生まれ,
5歳で奉天,その後北京と,
日本が侵略戦争をやっていた中国で,
子ども時代を過ごされました。

その経験から,『幽霊少年シャン』に描かれている,
当時の日本の加害の事実について,
共感的に解説にまとめてくださっています。

この日も,子どもの頃に陸軍病院に慰問に行ったとき,
入院していた軍人たちが,てがら話のように,
中国の民間人を殺した話,毒ガスを使った話,
捕虜を川辺で殺した話,慰安所の話などをしていた記憶を,
話してくださいました。
子ども心に「それは普通だったら犯罪ではないか」と思っても,
戦争中だから,その気持ちは封じ込めて聞いていたということです。

しかし,そういう軍人たちも,生き残って帰ってくれば,
「愛する夫」「愛する息子」であり,
軍人として何をしていたかは話さない,話せないまま。
戦後の日本はその歴史を忘れて,戦争観を作ってしまったのだと
実感的に語ってくださいました。

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それに比べて,グリム研究などで何度も訪れたドイツは,
ナチス時代のユダヤ人収容所跡など,国の罪の部分,恥の部分を,
きちんと残して,伝えようとしてきたこと,
日本は,原爆ドームは残しても,慰安婦のことや加害の歴史は
認めようとしない,これでは国際的に信用されないと,
語られました。

弟の征爾さんが,戦後初めて中国に招かれて指揮をしたとき,
同行した小澤さんは,「これは贖罪の旅のつもりだ」と征爾さんに話すと,
「自分も同じ気持ちだ」と言ってくれたそうです。
うれしかったとおっしゃっていました。

加害の歴史をみとめ,きちんと謝るということは,
精神が強くなくてはできないこと。
なんとなく,まわりを思いやって,
「空気を読む」日本の弱さは,
戦争中の「長いものにはまかれろ」という雰囲気と同じ。
今の日本は,またずるっと戦争の方に流れていく
瀬戸際にあると,強く語られました。

シンプルでクリア―な文体で,
人間の生き方,若者の育ち方など,基本的なことを語り伝えてきた
昔話も「重要伝承文化財」であるというお話。
それに対して,歴史をごまかし,周りに合わせて言い変えてしまう
世の中の雰囲気。比べつつ,考えたいと思いました。

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それにしても,今年88歳になられる小澤俊夫さん。
この日も,ひとりでさらっといらして,
時間ぴったりで講演され,
「~だぜ」という「チョイワル」語尾もかっこいい,
ほんとうにすてきな方でした。
そして,サイン会では,ひとりひとりと気軽にお話し,
写真もとってくださって,大人気でした。
握手して,さっそうと帰られたあとは,
私もしばし興奮さめやらずの一日でした。

小澤さんは,今も「昔話大学」などを続けるかたわら,
「昔あったづもな通信」として,
社会についての発信ブログも書かれています。

http://mukashiattazumona.blog.fc2.com/
とても参考になります。
小澤俊夫さんの丁寧な解説のついている
『幽霊少年シャン』も,ぜひ,読んでみてください。
加害の歴史をふまえつつ,それでも,ユーモアと,
日本人と中国人のつながりがある,
貴重な物語になっています。

大久野島に行ってきました!

2018.03.24 (土)

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3/22~23,京都へ出かけた帰りに,
現在,原画展を開催している「文学のピースウォーク」の1冊,
『大久野島からのバトン』(今関信子・作 ひろかわさえこ・絵)の
舞台である,大久野島へ行ってきました。

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広島県,瀬戸内海の周囲4キロほどの小さな島。
こちらが,その島から見渡す,おだやかな風景です。

今は,うさぎの島としてもしられ,
ピーターラビットと同じあなうさぎが,島のいたるところにいて,
かわいい姿を見せてくれます。

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しかし,この島は,太平洋戦争中,日本陸軍の毒ガス兵器を製造する
秘密の島として,一時期,地図からも消されていた島でした。
島の周辺地域の人々は,毒ガス兵器の製造にかかわり,
多くの人々が健康被害を受けるとともに,
その兵器は,実際に中国大陸で使用され,
加害者にもなるという,重い戦争の爪後が残る島でもあります。

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そのことは,もちろん本で読んでいましたが,
実際に行ってみると,思っていた以上に,なまなましく,
巨大な戦争遺構が,島のあちこちに横たわっていました。
発電所跡,貯蔵庫跡,砲台跡…などなど,
廃墟となって,だれでも見られる場所に残っています。

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島には,かわいいウサギやのどかな風景を求めて,
観光客が増えているそうですが,
島を歩けば,きっと,そうした戦争の跡にも目が行き,
「なんだろう」という気持ちになると思います。
負の遺産ではあっても,なんとかそれらを保存し,
伝えて行こうという活動も,地道に続けられているのを感じました。

まずは,本を手にとっていただき,
そして,機会があれば,その作品の舞台に足を運んでみる…というのも,
意義のあることだと思います。

「文学のピースウォーク」原画展は,4/1まで。
今回,大久野島には,作家の濱野京子さんといっしょに行きました。
3/30(金)18時~,その濱野さんと,評論家西山利佳さんの
「公開おしゃべり」があります。
ぜひ,ご参加ください。

文学者たちのピースウォークに,ぜひ。

2018.03.17 (土)

いよいよ3/18(日)~4/1(日)「文学のピースウォーク原画展」はじまります。今回が,最後の展示になります。

原画展にあわせて,1階書店では,
「文学者たちのピースウォーク」コーナーも充実。
「文学のピースウォーク」&短編集の「おはなしのピースウォーク」ゆかりの作家・画家さんの作品をたくさん並べています。

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10年前に「おはなしのピースウォーク」を作る時,
1巻目『まぼろしの犬』の表紙を
まっさきにお願いしたのは北見葉胡さん。
北見さんの『ヒットラーのむすめ』の絵がとても魅力的だったからです。

今回は,ハックルベリーブックスコレクションである
『ヒットラーのむすめ』表紙原画も公開します!

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また,「おはなしのピースウォーク」2巻目
『扉を開けて』の絵を書いている三村久美子さんや,
「文学」シリーズの『大久野島からのバトン』の
ひろかわさえこさんの,
かわいい額絵(ハックルベリーブックスコレクション)も飾ります。
ひろかわさんは,「ぷくちゃん」シリーズなど赤ちゃん絵本も人気。

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「文学」シリーズの『翼もつ者』の表紙絵は,
9月にもトークしてくださった「しばわんこ」の川浦良枝さん。
ちょうど「MOE」で「しばわんこ」の新作ふろくがついていて,
そのインタビューでも,「ピースウォーク」のことを書いてくれています。

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今回,会期中の3/27(火)のギャラリートークは,
スペシャルゲスト小澤俊夫さん。
もちろん,グリムや昔話研究の世界では有名ですが,
今回「文学」シリーズの『幽霊少年シャン』の解説を書いてくださっています。
(ギャラリートークはキャンセルが出ましたので残席2名)。

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また,3/30(金)18時~
『すべては平和のために』の濱野京子さんと,
「おはなし」シリーズ1巻目で「おわりの発言」を書き,
シリーズの編集の中心であった古田足日さんの遺志をついで,
編集作業をしてくださった西山利佳さんの
公開おしゃべりタイム。
この日は,新進人気画家の黒須高嶺さん
(『幽霊少年シャン』の絵を描いています)も参加予定。

そして,3/31(土)11時~/13時半~
原画に囲まれて「フルートと絵本のちいさな春のコンサート」。
「おはなし」シリーズに詩を書いたはたちよしこさんも
来て下さる予定です。

…ということで,今回の原画展には,
他にもたくさんの作家さん,画家さんの,
「平和」への思いがつまっています。

ぜひ,原画を味わい,本を手にとっていただければと思います。
また,イベントもまだまだ空きがありますので,
みなさまのご参加お待ちしています。

お申込みは,04-7100-8946まで。

恒例の決算報告など

2018.03.11 (日)

今年も,確定申告もぶじ終えまして,
店も8年目がそろそろ半分過ぎそうなところです。(早いっ)

恒例の,昨年の決算報告ですが,
2017年のハックルベリーブックスの決算は,
-58818円の,若干の赤字でした。
おととし,初めて123円(!)の黒字決算となったのですが,
また赤字となってしまいました。
ただ,ここには,店建物の減価償却費というのが
80万円くらい乗っている数字ですので,
現実に毎月借金しているということではありません。

赤字のレベルも,在庫の数などで変わりますので,
ほぼ横ばいと考えればいいのかなと思っています。
いろいろな経費についても,ふしぎなくらい,おととしと同じくらいで,
その意味では,低空飛行ながら安定しているというところでしょうか。
月々の実感としては,大きく落ち込むことがあまりなくなった感じがありました。

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それには,こちらのブックプレゼントを続けてくださっている方が,
20~25件くらいあるということが大きい気がします。
(こちらは,ご好評いただいていますので,もう少し増やしたい…)

それから,時間は多少かかっても,
アマ○○でなくハックルベリーブックスで,
注文で本を買って下さる方にも,だいぶ助けられています。

また,2階スペースも,日々いろいろな方が,
なんらかの形で使ってくださいまして,ほぼ埋まっています。
そのように連続的,日常的に
ハックルベリーブックスを「使って」下さるお客様が,
いらっしゃるおかげで,店の在庫も,充実させることができ,
ふと来て下さったお客様に,魅力的な本や雑貨との出会いを
提供できているのだと感じています。

そうした支えて下さっている皆様に,ほんとうに感謝しています。

その意味では,柏から発信している地元の著者の本を置いたり,
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地元の本のイベントを続けて行ったり,
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やはり,地域に根付いた本屋でありたいとつくづく思います。

いま,いろいろな地域に,自営の本屋や店がなかなか根付けなくなっている…。
どこの町にいっても,同じようなチェーン店やモールがならんでいる。
それは,あんまりおもしろい風景には思えません。

ともかく,今年もまた,ちょっと出稼ぎなんかもしながら,
なんとか,店をやっていきたいと思っています。

ぜひ,ハックルベリーブックスを,どんどん「使って」ください!

この一年をふりかえって ~児童文学の仕事~

2018.03.03 (土)

3月になりました。
学校や会社などでは,年度末。
一年のまとめの時期になりますので,店長奥山も,
店のほかに,ここ一年で手がけた仕事について,
すこし振り返ってみたいと思います。
…といっても,児童文学ということでは,
店とつながる仕事ではあります。

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まずは,なんといっても,昨年10月に刊行された
『「時」から読み解く世界児童文学事典』(原書房 5800円)です。
この本は,「時」というテーマで読むことのできる日本や海外の
児童文学作品を紹介する本で,全200冊のうち,
40冊ほどを,店長奥山が書きました。

じつは,この本の前に,『「もの」から読み解く世界児童文学事典』
『「場所」から読み解く世界児童文学事典』の2冊がすでに刊行されていまして,
そちらですでに紹介されている作品や作家とダブらないように,
5人の著者と編集者さんで,まず,作品選びから始まりました。
それが,かれこれ4年くらい前です。
候補作を全員で読み合って,これはぜひ読んでほしい!
という本を決め,それから手分けして紹介文を書いていきましたが,
その紹介文も,できるだけ批評としておもしろく,
でも,ネタばれにはならないように…などなど,
ずいぶん書き直し,ようやく本になったものです。

私が紹介した作品は,
上橋菜穂子作『精霊の守り人』,岩崎京子『花咲か』,中川李枝子作『らいおんみどりのにちようび』,森絵都『DIVE!!』,高楼方子作『十一月の扉』,芝田勝茂『夜の子どもたち』,ローベル『ふたりはともだち』,パウゼヴァング『みえない雲』などなど…40冊。
幼年ものから本格長編まで,ファンタジーから社会派リアリズムまで,
いろいろな作品について書かせていただきましたが,
それらが,「時とあそぶ」「時におどろく」
「時をさまよう」「時を動かす」…といった
コンセプトで並べられています。

単に,本を紹介するだけでなく,
読みものとしてもおもしろくなるように作られましたが,
はたしてどうでしょうか。

事典というだけあって,ちょっと高いですが,
図書館などには,ぜひ置いてもらえるといいなあと思っています。

夏くらいには,この本の制作秘話トークイベントもできたらと思っています。

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それから,11月には,
『10代のためのYAブックガイド 2』(ポプラ社 1800円)
もできました。この本は,2年前に出て好評だった

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こちらのブックガイドに続く2冊目。

監修は,金原瑞人さんとひこ・田中さんで,
27人の「本のプロ」が選んだ…と銘打たれています。
先の『時から読み解く…』は,「児童文学」に特化していますが,
こちらは,読み物だけでなく,詩集・歌集やノンフィクションなども
入っているところが,ユニークです。
また,ここ5年以内くらいの,新鮮な作品に限られているのも特徴です。

今回も,店長奥山は5冊紹介させていただきましたが,
パーキンス『モンスーンの贈りもの』,工藤純子『セカイの空がみえるまち』,みおちづる『翼もつ者』,ホーガン『バイバイ,サマータイム』,山下賢二『ガケ書房の頃』。

27人のいろいろなかたちで本にかかわっている人たちが,
どんな本を選んでいるかも興味深い。
「10代のため」となっていますが,むしろ,大人が読んでも,
かなりの読み応えの本ばかりです。

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そして,最後は,この2月に刊行が開始された
「児童文学10の冒険」です。

これは,日本児童文学者協会の70周年企画のアンソロジーで,
90年代以降の日本の児童文学の受賞作などを集めています。
その1巻目『明日をさがして』(偕成社 2200円)の
巻末の解説を書かせていただきました。

この巻には,
伊沢由美子作『走りぬけて、風』を中心に,
越水利江子『風のラヴソング』,長崎夏海『トゥインクル』
あさのあつこ「ぼくらの足音」(3月に原画展を予定している
「おはなしのピースウォーク」シリーズの一作)などの作品が
収録されていて,もちろん,それらの作品が出た当時に,
私も読んできましたが,今回,解説を書くにあたって,
あらためて読んでみると,これが,どれもいいのです。

90年代以降の,なんとなく閉塞的になっていく時代を背景に,
家族や学校や町の生きづらさを描いて,けして派手な作品ではないのですが,
どれも,なんとなくじーんとくる。
このじーんとくる感じをなんとか伝えたくて解説を書きました。

「児童文学10の冒険」は,この1巻目のあと,
『家族のゆきさき』『旅立ちの日』『自分からのぬけ道』など,
印象的なテーマで,日常ものからファンタジーまで,
本格名作がならびます。

また,表紙絵は,絵本『うきわねこ』のすてきな絵で知られる
牧野千穂さん。
とてもきれいな本になっているのも,うれしいです。

こんなわけで,この一年も,いろいろな本について,
いろいろ書きました。
いやー,児童文学っていいですねー,という気持ちです。

そんな気持ちをより広く伝えるべく,
4月には,読売カルチャーで,こんな一日講座もいたします。

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「孫と楽しむ」とありますが,それは,ひとつの象徴で,
親とか,先生といった子どもに身近な存在だけでなく,
いろいろな立場の大人の方が,子どもの成長に合わせて,
絵本や児童文学をいっしょに楽しむにはどうしたらいいか。

そんなことを,考えてみたいと思っています。
よかったら,ご参加ください。

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