24日は,原画展に際して,
作者のたかおゆうこさんにお越しいただき,
ギャラリートークをしていただきました。
今回も,店長奥山がいろいろと質問させていただく形で,
進めましたが,興味深いお話がいろいろ。
内気で、絵を描くことと本を読むことが好きだった子ども時代。
なかでも,植物や動物の「図鑑」,「むかしばなし」,『世界の美術』が愛読書で、やがて美大に進んだ頃には,世界の絵本に魅せられ,
クレヨンハウスでアルバイトをするほどに。
その後、福武書店(現・ベネッセ)に絵本をもちこむと,
その編集者さんからたくさんの児童文学を教えてもらい,
最初は児童書のさし絵からスタートしたとのこと。
たかおさんの作品には、絵の魅力はもちろん,
「物語」への深い理解があるなあと感じていましたが,
絵本作家と言われるまでのこうした経緯に,
とても納得できました。
『もねちゃんのたからもの』『チュウとチイ…』など,
オリジナル絵本の場合,子どもの頃の記憶のかけらから,
ある「絵」が生まれ,その絵の背景にある「物語」を探っていく…
という感じで作られているそうで,
今回メインの展示となっている『くるみのなかには』も,
子どもの頃に長野から送られてきた「くるみ」の記憶,
インドのむかしばなし,住んでいたドイツの冬…などなど,
いろいろな記憶のかけらから,この作品の構想は生まれたそうです。
それが10年以上前のこと。
でも,なかなか絵本にならず,
今回,編集者さんの理解を得て,絵本が実現するにあたり,
改めて,「くるみ」について取材をしたとのこと。
いろいろな木を見に行き,「くるみ博士」にお話を伺い,
そうした取材を通して知った驚きが,
この絵本の後半のリアルなくるみの美しさにつながっているのだなと感じました。
また,他の作品(『こいのぼりくん…』や『チュウとチイ…』など)
でコラージュの手法を手にしたことが,
今回の『くるみのなかには』でも,見事に生かされています。
(原画を見ると,手の込んだ切り貼りのコラージュがよくわかります)
長い時間をかけて作ったことは,
ムダではなかったと感じているとのことでした。
別の作家さんとのコラボ作品では,
自由に,かつ楽しんでやらせてもらえるかどうかを
基準にしているとのこと。
たしかに,『プリンちゃん』や『ねばらねばなっとう』など,
作者と画家さんが,楽しんで作っていると思われる
工夫や小ネタが満載です(納豆の頭に何かが乗ってるとか・笑)。
また,児童文学のさし絵は,作品の時代背景などを調べるのに
とても時間がかかるけれど,「物語」にかかわる仕事,
「物語」を作る仕事は,これからも続けていきたいとのことでした。
読んだあと世界が広がってみえるような「想像力」と
「自然への驚き」のある作品を,これからも作っていきたいと,
すてきな言葉でトークは閉じられました。
終了後は,サイン会。
こちらも,おひとりおひとりとお話されながら,
かわいいサインをていねいに描いてくださいました。
さらに,恒例となりました,
ハックルベリーブックスの窓にも,かわいい絵を!
ウィンドウ・ギャラリーに,またひとつ,
コレクションが増えました。
原画展は,4/2まで続きます。
ご希望があれば,店長奥山が,
作品の「ラフスケッチ」をお見せしつつ,
たかおさんのお話をふまえてギャラリートークをいたしますので,
ぜひ,気軽に声をかけてください。
どうぞ,お見逃しなく!