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ギャラリートーク②みおちづるさん×川浦良枝さん &ピースCafe

2017.10.03 (火)

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「文学のピースウォーク原画展」のギャラリートーク,
第二弾として,9/24は,
『翼もつ者』の作家みおちづるさんと,
画家川浦良枝さんに,来ていただきました。

最初に,このシリーズを作ってきた「新しい戦争児童文学」委員会の
西山利佳さんから,シリーズが生まれるまでの歩みについて,
お話いただき,いよいよ,作家×画家対談!

子どもの頃から,日本のリアリズム作品に満たされず,
海外ファンタジーにひかれていたというみおさん。
いつか翼をもつ少年の話を書きたいと思ってきたが,
「戦争児童文学」というテーマを考えたとき,
翼に象徴される自由を求める気持ちと,
それを奪われた世界とを描くことで,戦争に迫れるのではないかと
考えたそうです。
しかし,途中まではその翼をもつ主人公ノニに多くを背負わせてしまい,
友人となるイアン少年を登場させて物語が動きだしたとか……。
物語作りの過程を丁寧に語ってくださいました。

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一方,お父さんが読み聞かせてくれたり、買ってくれたりした本によって
異世界への旅をしていたという川浦さん。
「翼もつ者」を最初に読んだ時,翼をもつことの苦悩や孤独,
年若い兵士のつらさが,とても心に残ったそうです。
そして,表紙には,「清らかな翼」を描きたいと思い,
猛禽類の鳥の羽根をいろいろ調べて,表紙を描いたそうです。
細かな羽の一本一本の線,そして,青と白だけの色づかい。

川浦さんは,「しばわんこ」シリーズで人気の画家さんですが,
他の人の世界観を吸収して絵を描くこともまた,
とてもよい経験だったと語ってくださいました。

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みおさんは,戦争に対抗できるのは「文化の深さ」だという
古田足日さんの言葉を思い出すそうです。
『翼もつ者』では,
戦争にからめとられていく人間の根っこにあるものを考えてみたが,
一方で,戦争に導いてしまうような人間についても考えてみたいとも。

川浦さんは,ふつうの生活においては,表面的な言葉で,
表面的なかかわりしか持てないが,
「作品」というものを通して,自分の内面やお互いの深いところに
触れ合うことができるのではないか,と。

自分の翼を失わないでいられるような「文化の深さ」とは何だろうと,
改めて考えさせられました。

参加してくださった方からも,感想が届きました。
「みおさん・川浦さんの話も人柄が滲み出ていて、考えさせる内容でした。
ひとりひとりが戦争を止めるために何ができるのか?
特定の思想や政党に絡めとられることなく各人が反戦に向けて自分の信条を普通に語れる社会を作ることが「文化の深さ」につながるのかな~、と思いました。
その意味でもハックルベリーブックスの活動には共感できます。特定の思想的バックボーンを持たない人達(絵本が好きという単純な理由)で集った会だからこそ価値があるのでは?
川浦さんの「死を身近に感じた」発言は、私には身につまされました。身近な人の死を受け入れるのは大変な精神的苦痛と長い時間を必要とします。戦争であっと言う間にあっけなく死と向き合わなければならない状況は、普通の人間の精神を壊してしまうような気がします。」
うれしいご意見です。

とっても真摯に,作品について,戦争について,
生きること,死ぬことについて,語ってくださったお二人。
心に残る対談となりました。

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そして,9/26原画展最終日は,
ケーキを食べながらの「ピースCafe」。
定員以上の13名が参加してくださいました。
最初にケーキを選ぶところから,わいわいと和やかにスタート。
近くのケーキ屋さん「ラトリエ ドゥ ドロップス」の店長さんが,
すぐに届けてくださいます。

今回は,「おはなしのピースウォーク」で作品を書いている
作家の小川英子さんや濱野京子さん,詩人のはたちよしこさん,
そして,『大久野島からのバトン』の表紙を描いてくださった
ひろかわさえこさんなど,作り手の方々と,
柏地元でよみきかせや「まちカレ図書館」や本まっちなどの
活動をしている方や,同人誌で作品を書いている方など,
いろいろな方が,ピースウォークシリーズの作品のことや,
現在の社会状況,世界の動き,そして,自分の不安や思いを,
それぞれに語ってくださいました。

ふだん,近くでお話をしていても,こういう戦争や平和について,
どう考えているかは,なかなか語り合うことはないものです。

わかることも,わからないことも出し合って,
気軽に語り合える場は,やはり貴重だと感じました。

(ちなみに,9/21の1回目のピースCafeは,
参加者おひとりでしたが,店長奥山と2時間以上,
話し込んでしまいました。こちらも楽しかったです。)

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今回の原画展は,展示するまでは,どんな感じになるのか心配だったのですが,
飾ってみると,やはり充実の内容。
改めて,本を手にとって読んでいただきたいと思いましたし,
このシリーズを作ってきた活動そのものについて,
もっともっと知ってもらいたいと思いました。

9月の忙しい時期で,ご覧になれなかった方,
イベントに参加できなかった方もいたと思います。
現在,再度展示会ができないか模索中です。
そのときには,またお知らせいたしますので,
どうぞよろしくお願いいたします。

「おはなしのピースウォーク」「文学のピースウォーク」
ゆかりの作品フェアもしばらく続けますので,
ぜひ,ご覧になってください。

ともに,「ピース」な世界をめざしていきましょう。

ギャラリートーク①中嶋香織さん

2017.09.19 (火)

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「文学のピースウォーク」原画展,最初のギャラリートークに,
シリーズの装丁を手がけた
ブックデザイナーの中嶋香織さんが来て下さいました。

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中嶋デザインの本いろいろ

本屋に置く本は,お金を出して買っていただくものなので,
内容はもちろんですが,見た目というか,
本としての魅力にもこだわって選んでいます。そんな中,
「あ,この本すてき」「この本,かっこいい」と思うと,
「デザイン 中嶋香織」とあることが多く,
いつか,じっくりお話を聞いてみたいと思っていました。

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中嶋さんは子どものころから,「物体」としての本に興味があり,
大学でインテリアデザインを学び,
その後,グラフィックデザインのおもしろさに目覚め,
広告や雑誌のデザインをする事務所に勤めながらも,
「やはり,本のデザインをしたい」という気持ちから独立し,
とくに児童書を手がけている編集者さんとのつながりで,
子どもの本のデザインをするようになったそうです。

デザインは,作品と画家さんと編集者さんとのやりとりが大切。
まずは作品を読んで,その作品の核というか,本質というか,
いちばんいいところを捉えて,
それが伝わる本のイメージをふくらませるそうです。
そして,そのイメージに合った画家さんに依頼するわけですが,
そのとき,あまり「言葉で言い過ぎない」「限定しない」ようにしているとか…。
画家さんにも,自由にイメージをふくらませて描いてもらいつつ,
お互いに作品のいいところを共有していくようにしているそうです。

そのうえで,表紙,帯,扉,目次…と
紙を選んだり,色を決めたりしていくわけですが,
そのときは,読者が物語にどう入っていくか,
その「入口の流れ」を考えて,作っていくとのこと。

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今回の「文学のピースウォーク」の場合は,
すでに画家さんも決まっていて,絵もできているものもあり,
そういう場合は,物語の魅力と絵の魅力を合わせながら,
一冊一冊の個性をひきだすようにデザインしたそうです。

展示してある原画と,本になった表紙を比べつつ,
「少年たち」が「生きている」感じを出すために,
表紙からはみ出すようにレイアウトしたり,
逆に「流れ」を出すように絵が小さくなっても余白を生かしたり,
表紙,裏表紙2枚だった絵を1枚につないで,
「ひとつの世界」に広げたり……。
その具体的な工夫のありかたに,
ひとつひとつ納得できました。

ほんとうに,一冊ずつ大切に,そしてシャープに考えて,
デザインしてくださったのだと感じます。

その一方で,ご自分の赤ちゃん絵本
『おひさまさんさんおはようさん』や
『おつきさまなにみてる』(岩崎書店)について語るときは,
なんだかちょっと恥ずかしそうで,
それもまた,印象的でした。

あらためて,本は,いろいろな方に手をかけられて生まれてくるもの。そこに信頼を感じます。
「ものはいい顔をしていてほしい」という中嶋さんの言葉が
心に残りました。

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さて,原画展は,26日まで続きます。
21日(木),26(火)の15時~「ピースCafe」も開催。
近くのケーキ屋さんのおいしいケーキを食べながら,
展示作品のことや,平和について,自由に語り合いたいと思います。
26日はあと2名。21日はまだまだ受付中です。
ぜひ,どうぞ。

ピースウォーク原画展,はじまりました!

2017.09.17 (日)

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少しずつ準備をすすめてきた,「文学のピースウォーク」原画展,
いよいよスタートしました。
まずは,「ごあいさつ」。

「この戦争と平和を考える児童文学のシリーズは、今は亡き児童文学者の古田足日さんはじめ、日本児童文学者協会の「新しい戦争児童文学」委員会によって、長年にわたり、研究・合評・編集作業が続けられ、ハックルベリーブックス店長奥山も、委員のひとりとしてその作業に参加してきました。
 2006年には、短編集の「おはなしのピースウォーク」全6巻が出版され、昨年、ようやく長編の「文学のピースウォーク」全6巻が完結しました。両シリーズともに、那須正幹さんはじめベテランの作家から、フレッシュな応募作品まで、多彩な作品が収録され、また、装丁についても、北見葉胡さんはじめたくさんの画家さんに絵をお願いし、ブックデザイナー中嶋香織さんの手も借りて、本としての魅力にこだわってきました。
 また、「おはなし」シリーズの「はじめの発言」「おわりの発言」に続き、「文学」シリーズでも、小澤俊夫さん、丸井春さんはじめ、充実した解説が加わり、児童文学にかかわるたくさんの人々の、世界の平和をもとめる思いがつまっています。
 本展示では、「文学」シリーズの表紙絵原画(川浦良枝さん、白井裕子さん、ひろかわさえこさん、黒須高嶺さんほか)を中心に、「おはなし」シリーズの挿し絵原画(北見葉胡さん、三村久美子さん、松本春野さんほか)も展示しています。
 表紙から解説まで、すべての本を手にとってご覧いただき、文学を通して、ひろい世界に思いを馳せていただけることを願っております。」

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あらためて,展示を眺めていると,
同じ「平和」がテーマであっても,絵もことばも,
じつに多様であると感じます。

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「戦争」「平和」「世界」といった,
大きなテーマ,複雑なテーマを考えることは,
正直しんどいことです。
自分の言葉で語るより,できあいの,多数派の映像やことばに,
乗っかっている方が,楽でもあります。

そこをぐっとふんばって,たくさんの文学者,作家,画家,研究者のみなさんが,
「おはなし」「文学」のピースウォークシリーズでは,
それぞれの言葉,それぞれの表現で,「平和」を考えています。

ぜひ,その多様さを感じてほしい。
そして,見に来たそれぞれの方が,子どもたちが。
自分の言葉や表現で「平和」を考えてほしいと思っています。

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今回の展示では,2008年に開かれた
「おはなしのピースウォーク」原画展のときの
なつかしい絵やパネルも飾りました。

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第1巻目の『まぼろしの犬』の絵は,
ハックルベリーブックスでも人気の北見葉胡さんの絵でした。
今となっては貴重な,北見さんの銅版画もご覧になれます。

長い年月をかけて作られてきた作品,
どうぞお見逃しなく!!

ハックルベリーブックスでは,今年最後の原画展となります。

ピースウォーク原画展,もうすぐです!

2017.09.09 (土)

いよいよ,来週9/17(日)~
「おはなし&文学のピースウォーク原画展」です。
現在,いろいろな画家さんの絵を展示用に準備していますが,
どの絵も,ほんとうにすばらしい!!

しかも,描き方も,スタイルも,
画家さんによってさまざまなのです。
その違いが見られるのも,今回の原画展のユニークなところです。

9/18(祝)15時~
これら,さまざまな絵を「本」のかたちにつくりあげていく
ブックデザイナー中嶋香織さんのギャラリートーク。

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今回,「文学のピースウォーク」6冊のデザインを手がけ,
他にも,「あの本」「この本」,かっこいいなと思うと,
じつは中嶋さんのデザインだった…ということがたくさんあります。
(ここにある本,ぜーんぶ中嶋デザインです!)

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それでいて,こんなシンプルな赤ちゃん絵本なども作っている
中嶋さん。

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かわいいですねー。

ギャラリートークでは,店長奥山が,
ねほりはほり,中嶋さんのデザインのひみつに迫りたい!

…ということで,まだ少しお席ありますので,
ぜひぜひ,ご参加ください。

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秋の本もぞくぞく入荷しています♪

銀河鉄道ナイト 開催されました♪

2017.08.29 (火)

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8/27 17時~「文学のゆうべ」今年さいごの
「銀河鉄道ナイト」を開催しました。

ファンタジー作家の芝田勝茂さんが,
「10代からよめる日本名作」シリーズで
宮澤賢治の難解な「銀河鉄道の夜」をリライトしたのですが,
そのときに気づいたことがたくさんあり,
ぜひハックルベリーブックスで「語らせて!」と
ありがたいリクエストをいただいて,実現したのです。

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それだけあって,芝田さんのマシンガントーク,
一時間があっという間でした。

「銀河鉄道」といえば,自己犠牲のカンパネルラや,
主人公のジョバンニのうらで,なんとなく見過ごされている
いじわるな少年ザネリ。彼の存在に注目しつつ,
作品世界と明治以来の「村」のありかた,
戦争へと向かう時代などと重ねて,
この世で生き続けて行くジョバンニの姿を
読み解いてくださいました。

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そのあとは,
作品の中の「鳥捕り」が持っているふしぎなお菓子にちなんで,
甘い「らくがん」と,
フルーツとサイダーで「すきとおったたべもの」と,
賢治も食べたであろう「やまぶどう」をおやつに,
参加者のみなさんからもいろいろなご意見が。

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今回も,中学生の方も参加してくださって,
いろいろむずかしかったとは思うのですが,とにかく,
「読んでみたいと思いました」と言っていただけたのは,
うれしかったです。

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最後は,芝田さんから「文学クイズ」。
名作の冒頭をあてた方に,賢治にちなんだ豪華賞品,
「岩塩」「黒曜石のやじり」「懐中時計」が贈られました!

芝田さんからは,
「柏の皆さま、奥山さん、はるばる遠くからお越しの皆さん、
どうもありがとうっ!奇しくも賢治の誕生日に、
楽しい時間を過ごすことができました。
今度は「○○😅😅」について語りたいです。
また呼んでください!」との言葉をいただいています。
次に芝田さんが語りたい作品とは……? たのしみですね。

芝田さんの作品は,私も昔からとても好きで,ほとんどすべて読んでいます。
『ドーム郡ものがたり』『ふるさとは、夏』『進化論』
『アスターシャ どこ』『葛飾北斎』などなど,
いろいろな作品がハックルベリーブックスにもありますので,
ぜひ読んでみてください。

参加者のみなさま,芝田勝茂さん,
ありがとうございました!

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