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ギャラリートーク 永瀬比奈さんと

2022.01.25 (火)

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23日は、原画展をしている『モンスーンの贈りもの』など
「この地球を生きる子どもたち」シリーズを何冊か訳されている
永瀬比奈さんと、店長奥山で、ギャラリートークを行いました。

永瀬さんからは、スチュワーデスをされた後、
翻訳を志し、通信教育でさまざまな翻訳に触れるなかで、
児童書の翻訳が一番楽しいと思ったこと。
徳間書店の下読みの仕事などをしつつ、
はじめて出版されることになったのが、
マイケル・モーパーゴの『シャングリラをあとにして』。
この作品を気に入ってくださった鈴木出版の編集者さんに持ち込みをしたところ、
「この地球を生きる子どもたち」シリーズの
『リキシャ★ガール』を訳すことになったこと。
バングラデシュを舞台に、女性問題、貧困問題、マイクロクレジット、家族愛などを描いたこの作品が、
課題図書にも選ばれたりして、
続けて、同じ作者ミタリ・パーキンスさんの
『モンスーンの贈りもの』の原書をいただいたという経緯を
お話くださいました。
前回の横山さん、長友さんのトークに引き続き、
翻訳家の方の努力と視野の広さを感じます。

続けて奥山からは、「この地球を生きる子どもたち」という
社会派のシリーズの最初の作品『ヒットラーのむすめ』が、
当時の編集者さん、翻訳のさくまゆみこさん、そして、
絵の北見葉胡さんの思いが重なって、出された経緯、
今回、展示している北見さんの原画のいろいろなしかけについて、
話させていただきました。
『ヒットラーのむすめ』も、ナチスドイツの戦争の時代と、
現代のオーストラリアの子どもとをつなぐ、
読み応えのある作品ですが、その後、現在まで続く、
このシリーズで、ほんとうにいろいろな国のいろいろな社会問題が、
読者に届けられてきたことを感じます。

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とはいえ、永瀬さんも、一時期は、私生活でつらいことなども続き、
生活のために特許翻訳なども始められたとか。
しかし、その法律文書の言葉の冷たさにつらくなっていた頃に、
あらためて『モンスーンの贈りもの』を訳しながら、
やはり児童文学の温かさに、心が癒されたことも。
(この経験は、「日本児童文学」1-2月号の
「恋を訳す」というエッセイにも書いていただきました。)

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一方奥山は、この『モンスーンの贈りもの』を、
大学の授業で、「リアリズム」児童文学の代表作として読んでいます。
アメリカのバークレーという最先端の地から、
インドのプネという田舎町へという場の設定、
6月~7月のみずみずしいモンスーンという季節感、
インドルーツで里子としてアメリカに来たママと白人のパパという家族、
インドで出会う貧困、女性問題、カーストの差別などの問題。
そうしたワールドワイドな社会を背景に、
主人公の15歳の女の子の恋やコンプレックスといった心の動きを
納得されてくれる作品のおもしろさについて話させていただきました。

このみずみずしい物語に、美しい絵をつけてくださった
今井ちひろさんも、ちらっと顔を見せてくださいました。

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その後も永瀬さんは、
森林伐採やサイクロンといった環境問題を背景にした
『タイガー・ボーイ』も訳されていますが、
今後も、この地球を後世に残していくために
小さなことでもできることからやっていきたいと話されました。

永瀬さんが訳された作品はもちろん、
原画を展示している
インドを舞台にした『ぼくと象のものがたり』
スリランカを舞台にした『茶畑のジャヤ』
アメリカの長距離列車を舞台にした『あたしが乗った列車は進む』、
そのほか、シリーズ作品も店にそろっていますので、
ぜひ、手に取っていただけるとうれしいです。

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オンラインイベントは、なかなかみなさんの反応を受け取ることができず、
残念なのですが、それでも、2回にわたり、
のべ50名ほどの方々に参加していただきました。

奥山も、いろいろなお話を聞くことができましたので、
原画展の会場で、何か疑問がありましたら、
お気軽にお尋ねくださいね。
わかる範囲で、ご案内いたします♪