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福島に行ってきました! 「日本児童文学」フェアも

2021.07.03 (土)

先日,福島に行ってきました。
編集長を務めている雑誌「日本児童文学」で,
この秋9-10月号で
「「伝える」を問い直す」という特集を組むことになり、
その中で,日本各地の「伝える」ための施設を紹介することになったためです。

北海道は,アイヌ関連の施設,
東北は,気仙沼の震災関連の施設,
また,福島の原発事故関連の施設,
関東では,足尾銅山,
それから,第五福竜丸関連,
九州からは,三池炭鉱や長崎,
そして沖縄では沖縄戦関連の施設。

この春からずっと,編集委員ができるだけ足を運び,
また,北海道や沖縄については詳しい方に情報をいただき,
当該施設とも連絡を取り合ったりして,
記事をまとめました。
「伝える」工夫とむずかしさ,
「伝える」とはどういうことか,
を考えるきっかけになる場所ばかりです。

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そのなかの一つとして,
先日,福島楢葉町にある
「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」をたずねました。
こちらの施設は,この3月,原発事故から10年目に
宝鏡寺の敷地内に作られた資料館です。
宝鏡寺の早川ご住職は,40年にわたり,原発の危険性を訴え,
裁判などを続けてきたのですが,
2011年,とうとう原発事故が現実のものとなり,
楢葉町も避難区域となり,地域も生活もこわれてしまったといいます。
くわしくは
「むら人たちは眠れない―早川篤雄と原発の同時代史-」
https://www2.rikkyo.ac.jp/web/reiko/social/common/pdf/20180709_01.pdf
というこちらの資料をぜひお読みください。

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小さな資料館ながら,福島原発事故を,他のさまざまな
放射能被害と合わせて伝えようとしている姿勢が明確で,
人間がこれから核とどうかかわっていくのかを問いかけられます。

核にたいして,だれがどのように責任をもつのかということも,
考えさせられました。
早川ご住職は,80歳をすぎても,なおお元気で,
ひとりでも多くの方に見に来ていただきたいとのこと。
「年中無休・見学自由!」とのことですので,
東北に行く機会がありましたら,ぜひ,訪ねて見てください。

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また,その後,近くの
「特定廃棄物埋立情報館 りぷるん福島」と
双葉町に昨年できました「東日本大震災・原子力災害伝承館」へ。
こちらは,どちらも国立の施設で,
まずその巨大さとテクノロジーを駆使した展示に圧倒されました。
映像,巨大パネル,模型,コンピューターゲームなどを駆使した,
ぴっかぴかの施設です。
しかし,伝承館では,津波被害と原発事故が混在して示されていて,
事故処理は,「福島イノベーション・コースト構想」推進の一環として位置付けられています。
原発事故で避難したという語り部さんのお話も,
いろいろともやもやするばかりでしたが,
議論できるような雰囲気ではありませんでした。
「りぷるん」や「原子力災害伝承館」では,
いったい何を伝えようとしているのか,
いやむしろ,何を隠そうとしているのか…?
もやもやもやもやしながら,帰ってきました。

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双葉町は,いまなお帰宅困難区域です。
周囲は,草木にのみこまれた無人の建物ばかり。
双葉駅も無人駅でした。

この春から夏にかけては,
他にも,大牟田や長崎,足尾銅山などに行き,
民族とは,戦争とは,近代化とは何なのか…
ほんとうにいろいろ考えました。

「伝える」ということは難しい。
「日本児童文学」9-10月号では,
そのことを,徹底的に考えてみます。
この号は他にも,俵万智さんの短歌,
ひこ・田中さん,工藤純子さんの短編,
安田菜津紀さんのフォトエッセイ,
そして,貴重な論考がならびます。

どうぞ,お楽しみに。

…と,そのまえに,
「日本児童文学」7-8月号もまもなく出ます。
こちらの特集は,「幼なじみ」。
これまた,おもしろい号になっています。
入荷しましたら,またご紹介いたしますね。

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5月から展示していました味戸ケイコさんの表紙原画も,
展示延長することになりました。
夏休み,8月末まで,「日本児童文学」フェアとともに,
コーナー継続しますので,
ぜひ,見にいらしてください。