8月は,店は夏休みにさせていただいて,
沖縄に行ってきました。
沖縄は,定時制の高校の教員だった頃,
卒業までがんばってきた生徒たちと最後に必ず
修学旅行で行った場所。
平和学習と美しい自然…。
その修学旅行のために,下見も含めて何度も行きました。
しかし,店を始めてからは,なかなか行かれず,
ひさしぶりの沖縄。
そして,今回の旅のひとつの目的は,
辺野古と高江の基地建設反対のすわりこみに参加すること。
辺野古は,最近はニュースでもだいぶ報道されるようになってきましたが,
海を埋め立てて米軍基地の滑走路を作るという計画が進められようとしている場所です。
それに対して,すわりこみや海上のカヌーややぐらでの
工事中止を求める活動が続けられてきました。
私が,この辺野古をはじめて訪れたのは,
2007年のことです。
そのころ,私は,児童文学作家の古田足日さんの呼びかけで始まった,
平和を考える作品集「おはなしのピースウォーク」シリーズの編集に,
参加していました。
そして,その2巻目の『扉を開けて』という本には,
「おわりの発言」も書かせていただいたのですが,
同じ2巻目に,白川タクトさんという若い書き手の方の,
アフガニスタンの戦争を描いた「死んでもいわない」という
印象的な作品も,応募作品として収録されていました。
その縁で知り合った,白川さんは,
そのころ,沖縄に住んでいて,辺野古の反対運動にも参加していたのです。
その白川さんに案内していただいて,初めて辺野古の海を見たとき,
この美しい海に滑走路が造られるという計画のむなしさを,
まず,直感的に感じました。
そして,最後に担任した生徒たちとも,修学旅行では,
辺野古のある大浦湾でシーカヤックをやりながら,
サンゴ礁のこと,じゅごんのこと,基地の計画のことなどなど,
いっしょにいろいろと学びました。
そのころから,ずっとずっと続けられてきた辺野古の闘い。
今回,すわりこみテント前には,
「すわりこみ4134日」という日数が掲げられていました。
最近の辺野古の状況については,
「戦ばぬ止み」というドキュメンタリー映画があります。
先日まで,柏キネマ旬報でもやっていました。
http://www.ikusaba.com/
その映画を見ると,ほんとうに胸が痛くなるのですが,
ちょうど,今は,一カ月の工事中断ということになっていたので,
テントの雰囲気も,穏やかで,
「すわりこみにきました~」と言うと,
「あ,どうぞどうぞ」と椅子をすすめてくれて,
「お茶もあるから飲んでね~」なんて言われます。
よく晴れた日で,眺めているだけでも,海はほんとうに美しく,
テントには,家族づれや若者グループなど,
各地からつぎつぎといろいろな人が訪れて,
くわしく説明を受けていました。
辺野古からの粘り強い発信に対して,
関心が広まってきているのを改めて感じました。
その翌日は,さらに北のやんばる高江へ。
こちらは,やはりアメリカ軍基地の北部訓練場にかこまれた場所で,
高江集落をぐるりととりかこむように
危険なオスプレイも配備するヘリパットが,
6つも造られることになり,
それに対しての反対運動が行われてきた場所です。
24時間体制で,工事のゆくえを監視し,
また,すわりこみで建設を阻止してきましたが,
残念ながら2つのヘリパッドは作られ,
沖縄には,危険なオスプレイも配備されてしまいました。
この高江の問題は,
「標的の村」というドキュメンタリー映画も作られ,
http://www.hyoteki.com/
私もおととし,この映画を見てから,
いつかは高江にも行きたいと思っていました。
やんばるの山道をどんどん進んでいくと,
基地ゲート脇に,テントがならんで,
何人かがすわりこみをしていました。
もちろん「標的の村」に登場していたみなさんもいます。
この日は,ひとりの青年が,
今の状況をくわしく話してくれました。
2つのヘリパッドは作られてしまったものの,
残り4つについては,今のところ,強硬にすすめられてはおらず,
なんとか止まっているとのこと。
そして,その背景には,日本の各地で,
高江に関心をもち,ときには訪れてくれる人が,
たくさんいることが大きな力になっているともおっしゃっていました。
こちらも,テントにすわっていると,
パイナップルを切って出してくださったり,
ヤンバルクイナの鳴き声が聞こえてきたり…。
かたわらでは,将棋をやっていたり…。
よく「デモやすわりこみなんて,意味あるの?」
「すわりこみとかって,なんだかこわい…」というような声を耳にしますが,
もし,こうした辺野古や高江の行動がなかったら,
海も山もあっという間にこわされて,
コンクリートの基地が作られてしまっただろうと思います。
そして,その現場に行ってみると,
ただただ厳しく,つらいだけではなく,
そこには,素朴な人々のあたりまえの願い,
穏やかさと,ユーモア,さまざまな語り合いの時間があるのを,
ほんとうに感じます。
そうでなければ,こんなに長く抵抗を続けることはできないのですね。
こういう現場は,公害問題をのりこえてきた水俣や,
原発に抵抗している六ケ所村や祝島をはじめ,
いろいろなところに生まれていて,
小さな知恵が,重なり合い,つながり合って,
世界は少しずつ変わってきたのだと思うのです。
応援に行ったつもりが,こちらが力をもらってきたような気がしました。
他にも,国際通りや平和通りをぶらぶらし,
三線を教わり,沖縄料理を楽しみ,
友達の友達の家でBBQをし,
シュノーケルをし,映画を3本も見て,
本屋さんを訪ねてまわり……。
ひさしぶりの沖縄を,大いに楽しんでまいりました。