前から、松本大洋さんの漫画は好きでしたが,
そのきっかけとなったのは,なんといっても『ピンポン』。
子どもの頃からオババのやっている卓球場タムラでラケットを握ってきた
天才肌で自由奔放な「ペコ」こと星野と,
いつもペコのそばでうっすら笑っていた「スマイル」こと月本の二人が,
高校生になって,さまざまな他の選手とぶつかっていくストーリー。
スマイルがその才能をどんどん伸ばしはじめ,
そのときペコは…? というような、
どこかなつかしく,でも斬新なスポーツ漫画で,映画にもなりました。
私自身,中学・高校と卓球をやっていたこともあり,
戦型・戦術のリアルさなど,かなりひきこまれて読みました。
オババみたいに卓球場をやりたい…なんて思ったりして…。
その後も,『鉄コン筋クリ―ト』など子どもがいきいきと,
そして,ちょっとせつなく描かれている松本大洋漫画は
けっこういろいろ読み続けてきました。
そして,最近読んだ中では,こちら『Sunny』がすばらしい。
まだ連載中ですが,「星の子学園」という場所で,
親と離れて暮らす子どもたちの姿が描かれています。
最近,テレビなどでも児童養護施設が注目されているようですが,
こちらの『Sunny』は,
松本大洋自身の子ども時代が投影されているそうで、
いつもながら,子どもたちのエネルギー,笑い,怒り,
せつなさ,かなしさ…が、さりげなく、しかしリアルに描かれています。
あらためて,松本大洋…いいですなあ…と思っていたところに,
このたび,谷川俊太郎さんとのコラボで作られた絵本も出ました。
こちらの『かないくん』(東京糸井重里事務所)は,
「谷川俊太郎が、一夜で綴り、
松本大洋が、二年かけて描いた」という絵本。
子どものころに、クラスの「かないくん」の死に出会った
おじいちゃんが、今、自分の死を見つめている…
それを、孫の「私」がさらに見つめている…という
ちょっと複雑な構成の文なのですが,
それを、松本大洋が、やわらかく、せつなく、美しく…
ひとりひとりの息づかいが感じられるような絵で
描きあげています。
文章もけして難しい言葉ではないのに,
谷川さんらしいなぞがあり、
何度も読んでは考えてしまいます。
テーマは「死」。ですが,「終わり」ではない。
静かな雪の中で,読みたいような絵本です。
ハックルベリーブックスは,限られたスペースですので,
何巻も続く漫画はなかなか置くことができませんが,
もちろん,ご注文でしたら,取り寄せることは可能です。
好きな漫画,手元に置いておきたい漫画,
全巻そろえたい…というような時は,ぜひご利用ください。
2月は雪が降ったり,寒風が吹いたり,
お客様もどうしても減ってしまう時期(きびしい…)。
フ―ちゃんも,うとうと店番しています。
(半目がこわい…笑)
ですが,春はもうすぐ。
卒業・入学・新生活…をはげましてくれる本もいろいろ厳選しています。
記念品やお祝いに,ぜひどうぞ。